登山ウェア手袋

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 手袋も山登りには絶対かかせないアイテムのひとつだ。

 手袋はただ防寒のためにするだけではないことは、誰でも分かっていると思う。もし夏山で手袋がなければ、下山したときは、手に擦り傷がいっぱいできているかもしれない。

 お湯を沸かしたり、火でなにかを調理したときなど、熱いなべを掴むのにも必要になる。
 木も草もなく、夏山の稜線を歩くのだから手袋は必要ないと思っていると、乾いた風と紫外線があなたの白魚のような美しい指を容赦なく傷めつけることになる。皮膚が弱い人は、一日で手ががさがさになることもあるので注意が必要だ。

 夏山では軍手を使うのがほとんど常識になっているが、木綿の軍手は以外にも弱く長持ちしない。私は以前からケブラー繊維で作られた軍手を使用している。もう10年以上使い込んでいるが、まだどこも穴などあいていない。その丈夫さは驚異的だ。値段は普通の軍手に比べると10倍以上はするが、ランニングコストを考えるとケブラーの方がはるかに安上がりであるように思う。

 ケブラーはアラミド系繊維で、防弾チョッキにも使われるほどの強靭な繊維である。こいつを山道具に使わない手はない。
 防寒用としてはあまり優れているとはいえないが、木綿の軍手に比べたら乾きやすさの点からも数段優れている。
 秋から春にかけて、とりわけ冬山では防寒用の手袋は絶対に必要である。

 防寒用の手袋といえば、なんといっても毛糸の手袋だ。
 ハンガリー製の手袋でハンガロテックスと呼ばれている手袋がある。太めの未脱脂ウールでざっくりと編まれている。今から20年以上も前から輸入されていて、そのデザインは今も変わらない。
 値段も安く、多くの岳人に支持されてきた。私も二十数年前に二組買ったものが、いまだに現役として我が手を守ってくれている。
 もちろん多少の修理は施してきたが、まだまだ十分に使用できる。

 値段は多少張るが、オーストリア製のウールの手袋も耐久性、保温性の点で秀逸である。
 最近はフリースを好む向きもあるが、耐久性においてはウールに勝るものはない。
 フェルト化することを気にするひともいるが、ウールの手袋は使い込むと手のひらの部分だけフェルト化し、かえって保温性、耐久性が増し、また手へのなじみもよくなる。防寒用としては必ず一組は用意すべきである。

 ミトンは完全に防寒用だ。赤ちゃんがちっちゃなミトンを手にはめられ、その手をまるで機械仕掛けの人形のように動かす様は、もう食べちゃいたいくらいにかわいい。
 でも岳人がはめるミトンはなんともいかついものである。
 ミトンは保温性の点からは最高で、これなしの厳冬期登山は考えられない。でも作業性の悪さったらない。ピッケルだって持ちにくいし、これをはめたまま靴のひもを結べと言われたら、ムカデに靴を履かせるより手間取るかもしれない。
 私のような短気な人間は、ヒステリーを起こしそうだ。

 靴ひもを結ぶ苦労に我慢ならなかった人が3本ゆびミトンを作った。親指を除く4本のうち、人差し指だけを独立させたのだ。このおかげで手袋をはめたまま靴ひもを結べるようになったので、岳人は凍傷を負わないで靴ひもを結ぶことができるようになったし、人さし指で鼻くそをほじることもできるようになった(本気にしないでよ)。

 正直なところ(これはホントに冗談抜き)、普通のミトンでも3本指ミトンでもそれほどの差はないと思う。個人的には3本指ミトンはあまり好きではない。人さし指だけを仲間はずれにするなんてカワイソウじゃん。

 今まで使用したミトンの中で最も使い心地がよかったのは、手のひらの部分は全面革でできており、中はボアが入っていて暖かさの点でこのミトンの右に出るものはなかった。
 「氷壁の鬼才」と呼ばれたヴァルター・セキネルがデザインしたもので、「セキネル・ミトン」と呼ばれていた。ただ日本では厳冬期の北アルプスでも縦走などの目的ならば、それほどの装備は必要ない。