登山靴・兼用靴
top へ

登山靴

最近登山用品店に行くと、革製の登山靴はほとんど見かけないほどになってしまった。 多くは化学繊維とゴアテックス・ブーティーの組みあわせで防水性能をなんとか確保している。
しかしハッキリ言って、耐久性、保温性、耐衝撃性、さらに防水性においても革製の方が上である。
革製の靴が姿を消しつつあり、それに替わって化学繊維の靴が増えてきたことの背景は、技術の進歩であると考えるのは間違いである。 単にグローバリズムのひとつの結果に過ぎない。一足一足丁寧に作る靴職人は、もはや工場での大量生産のシステムにコストの面で 対抗できなくなっただけの話だ。
もしあなたが本気で山登りをしようと思うなら、私は迷わず革製の登山靴を勧める。 耐久性は比較にならないほど皮革が上だ。ゴアテックスをよろこぶ人も多いが、長年ゴアと付きあってきて(アメリカの大統領候補だったひとではないヨ)、 そんなに良いものかァ?というのが正直な気持ちだ。
ゴアテックスの特徴をあげろと言われれば、
1.蒸れる
2.濡れる
3.冷たい
4.乾きにくい
とマイナス面ばかりをあげてしまうだろう。
山で登山靴の中に水が入ってしまったら、多分下山するまで靴が乾くことはないだろう。いや、汗ですら完全に乾かすことは難しいかもしれない。 とにかく乾きにくい。ゴア入りの登山靴を使用したことはないのだが、むかしドイツのマインドルというメーカーのゴア入りタウンシューズを履いて、つくづく失望した。 あの乾燥したトルコやギリシャを歩き回っていて、汗でジットリと内側だけが濡れる。さらにその靴が(しかもブーツではなくシューズだよ!)、一晩で乾ききらないのだ。
あの乾燥地域でだ。それほどいったん濡れたゴアは乾きにくい。

私が今まで使用してきた靴で最も高く評価しているのが

ザンバラン

というイタリア製の登山靴だ。 このメーカーの靴はほとんどが軽登山靴であるが、その耐久性の良さ、革の質の高さは特筆に値する。もう15年以上も使用している靴もあるが、まだ型くずれなど全くしていない。 ビブラムはもうほとんどパターンが消えそうなくらいに使い込んできた。さすがにもう防水性はダメだが、保革油を塗ったあとの一日山行なら十分に耐えてくれる 。ナイロン製のブーツがそんなに長持ちすることはまずあり得ない。

大いに期待したが「それほどではなかった」、と感じている靴もある。
山ヤで

ゴロー

の名を知らない人はまずいないだろう。登山靴専門店としては日本で最も信頼のできる店のはずである。 ここで冬山用として一足作ってもらった。
問題点をあげよう。

1.ソールの幅が広すぎて、一部のアイゼンは装着できない。

2.ソールと本体革の縫い目から水がしみ込む。

3.防寒性に乏しい。

上記の内、2.と3.については意外に感じる人が多いのではないだろうか。私も本来のゴローの出来ではないと感じている。しかし現実であることは間違いない。 もちろん縫い目のケアーは店で言われた通りに行っている。
それから防寒性についてはお世辞にも褒められない。冬山用として注文したいわゆる「重登山靴」であるが、悲しいかな「ザンバラン」の3シーズン用の靴の方が保温力が高いのだ。
想像だが、ソールに入っている金属板(大抵の登山靴には入っている)と足裏が接する底の部分との間の断熱がいいかげんなのだと思う。
もう少し頑張ってもらいたい。

登山靴は意外と長持ちするものである。信頼できる登山用品店でじっくり時間をかけて選らんでいただきたい。

選ぶポイントを少しばかりあげておこう。

1.予算が許すなら、革製の靴を選ぶ。しかし革ならなんでもいいというワケにはいかない。できるかぎり「スイス革」を選びたい。防水性、耐久性で差がでる。

2.ソールはビブラムにこだわる必要は全くない。それよりも靴を前から見たときに、ソールの左右が持ち上がっているような靴---ようするに底の中央部だけが地面に接し、 その左右は地面から浮いてしまう靴は敬遠したほうがいい。このような靴は安定がよくない。
逆に靴の左右の部分が地面について中央部は地面との間に若干すき間ができる靴がある。このような靴がお勧めである。店で履いて平な床に立ったときに、 安定感の違いはすぐに感じられると思う。

3.靴は軽ければ軽いほど疲れにくい。とはいえ、軽さと耐久性は両立しないものだ。軽い荷物を背負って小屋泊まりで山を歩き回るなら軽登山靴でもいいが、 冬山での使用やテントを担いでの山登りを考えるなら、どうしても靴は重くなってしまう。目的をはっきりさせて間違いのない靴選びをしましょう。


兼用靴

兼用靴はいままで何足履きつぶしたか分からない。
だいたい2〜3シーズンでプラスチックのベロが割れてしまうのだ。足首が曲がる角度にプラスチックが耐えきれないのだ。その問題さえ解決してくれれば、 もう少し長く使えるものを・・・と思うのだが、未だにメーカーは改善してくれない。

いままで使用した靴のメーカーを思い出せるかぎり挙げてみよう。

1.ローバ・ホッホツーリスト(革製+プラスチック・アッパー付き)
歩くときは普通の登山靴。スキーをするときはプラスチックの「スポイラー」と呼ぶ足首の支えを取り付ける。なかなかの逸品であった。

2.ローバ・ホッホツーリスト・スーパー(プラスチック)
ローバ(ただしくはローヴァ)の靴に共通するのは、「足入れのよさ」である。足全体を柔らかく包み込んでくれる感触は特筆すべきだ。

3.ハンワーグ(昔ハンスワグナーと呼んでいたこともある。「hanwag」を正しくドイツ語読みするなら「ハンヴァーク」だろう。

4.カベール(ご存知の方がいたら、かなりのベテランだと思う。昔はスキー靴も出していた。この靴はとても使いやすかったがやはりプラスチックが割れた。 針金やエポキシ樹脂で修理を試みたが、いったん割れたプラスチックはほとんど修理不能であった。

5.ダハシュタイン
これは現在も使用している。リヤ・エントリーの珍しい靴だ。この靴の良いところはバックルを緩めると足首が後ろに大きく倒せるので、シール登行が楽なことだ。 一方前傾は困難。スキー滑降のときは良いが、これで石がゴロゴロしたようなところを歩くのは大変だ。スキー靴で歩いているのとさほど変わらない。
足首を深く曲げたときにもプラスチックに無理な力がかからないので、割れは生じない。そのため十年ほど経ってもまだ現役だ。耐久性はNo.1だが、 もう「ダッハ」の兼用靴は店頭で見ることはない。

6.ノルディカ
最近はほとんどノルディカを使っている。歩行性は兼用靴としてはまずまず。スキー滑降はほとんどスキー靴と変わらない。むしろヘタなスキー靴よりいいかもしれない。
既に二足目である。
今ある兼用靴の中では一番のお勧めである。
ただしやはりフロントバックル式のプラスチック・ブーツは長持ちはしない。

兼用靴選びのポイント

1.軽いこと。
山を長時間歩くことが前提である。スキー滑降より歩く時間の方が何倍にもなる。重い靴ではいざスキー滑降というときに、既に疲れ切っているという状態になりかねない。 軽ければ何でもいいというわけにはいかないが、重さは重要なポイントだ。

2.歩きやすさ。
兼用靴はスキー滑降のことも考えられているために、プラスチックは硬めでソールは登山靴のように曲がることはない。また足入れが深く、ギブスのようである。
これが歩きやすいはずはないのだが、足首がよく曲がる靴は比較的歩きやすいと言える。ただしバックルを緩めたときに、雪が靴の中に入りこんでくるようではまずい。
靴のインサイドだけプラスチックで補強され、全体は革で出来た靴があればいいのだが、そんな靴は特注するしかないだろう。 いや、いくら金を積んでも引き受ける靴屋はもうないかもしれない。

兼用靴はかなり蒸れる。一日行動すればインナー・ブーツの中はぐっしょり濡れる。これを乾かすのは結構大変だ。なるべく乾かしやすいものを選ぶのも大切かもしれない。 と言っても、乾かしやすさなんてどこで判断すればいいのだろう・・・。

3.スキー滑降で安定すること。
山スキーをする人は、ほとんどの人がスキー滑降を楽しみたい人だと思う。天候、雪質、傾斜など条件さえよければスキー滑降の楽しみはゲレンデでのそれの比ではない。
スキー滑降のときはしっかりと足首を支えてくれる靴がどうしても必要だ。最近の兼用靴はすべてプラスチックであるので、スキー滑降においてはほとんど問題ない。 ただし一点気を付けなければいけない問題がある。
これは歩きやすさにも関わることだが、靴を履いてバックルを軽く締めたときに、地面に平に立てるかどうかは実は大きな問題である。 「カント調整」のできる靴は特に兼用靴ではほとんどない。多くの日本人はO脚であるため、硬いプラスチック・ブーツを履くとまっすぐに立ったときに 靴のソールの内側(親指側)が地面に着かず浮いてしまう。
このような靴ではスキーの内側のエッジをしっかりと立てることができず、また外側のエッジは引っ掛かりやすくなる。
歩きにおいても雪面を平にとらえることができず、歩行に思わぬ苦労を強いられることもある。
私が使用しているノルディカのブーツは「カント調整」が可能で、この点でも優れ物といえる。


top へ